おすすめ

今まで読んだ観た本・映画などなどから印象深いものを・・・・・

推理小説『白い狂気の島』   川田弥一郎 著  講談社文庫

 犬を飼ってる人なら一度は「狂犬病の予防注射って本当に必要?」なんて疑問感じたことないですか〜。
 これはミステリー小説なんですけど、特に前半は日本の離れ小島で狂犬病が発生するパニックが書かれていて
 この前半だけでも読み応え充分。後半は誰が狂犬病をその島に持ち込んだかの謎解きです。
 狂犬病を扱った小説といえば、映画にもなったスティーブン・キングの『クージョ』が有名で、狂犬病の恐さが痛いほど伝わってくる作品で すけど、病気としての説明の詳しさではこちらに軍配です。

『動物病院 飼いたい新書ミレニアム』  野村潤一郎 著    ワニブックス

 この人のキャラクターはスゴイ。
 有名な獣医師なので知ってる人も多いでしょうが、この本ではそのキャラクターがよくでて面白いです。
 内容的には悲しく重いエピソードも書かれていますけれど、楽しい話や獣医さんの内輪ネタもタップリなので読みやすい。
 豆知識も盛りだくさん。

『よい獣医さんはどこにいる』  坂本徹也 著     WAVE出版

 これは獣医療の業界内幕を、ペットジャーナリストの著者が深〜〜く掘り下げてある本です。
 これを読めば、動物を飼ってる人には動物病院選びの参考になること間違いなし。
 直接たくさんの実名の獣医さんをインタビューして載せているので、“なま”の話満載ですよ。

映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』   スウェーデン映画1985年 (ビデオ出てます)

 この題名は「あのイヌよりは僕の人生はマシ。」という意味で、イヌが活躍する映画じゃありませんのでアシカラズ。
 「あのイヌ」とは、主人公の少年の生きる時代にソ連の人工衛星1号機に実験のために乗せられた犬のこと。
 何日間かのエサは積んであったけど、そのあとは宇宙で餓死するしかなかったイヌ。
 このニュースを聞いて、少年は「この犬の人生よりは僕の不幸はマシだ」、と考えるわけです。
 ちょっと感性が変わってる少年で、トラブルメイカーにもなってます。
 ところがこの変わった考え方をする主人公が、終盤自分の飼っていた犬のことで大泣きするシーンにまさに独特のセリフを言います。
 これにノックアウト。頭にこびりついてしまいました。
 映画なので、ストーリーが言えないのがツライです。
 ちょっとしか犬は出て来ない映画ですが、犬好き動物好きの方にもお勧めです。

  ミステリー小説『ウォッチャーズ』(上)(下)    ディーン・Rクーンツ 著    文春文庫
これは特におすすめです。今度は正真正銘、犬が活躍するストーリーです。
私の中では、この人の作品の中でもピカイチ、犬が出る出ない関係なく小説の中でもトップクラスの良さだと思ってます。
インターネットで調べてみても、犬好きや逆に動物には縁の無い人の中でも、評価が高いのが分かると思います。
私が悪趣味じゃないことは証明できてるでしょう(笑)。
何が良いのか〜は言葉じゃうまく説明できないので、気になってくれた人は是非読んでみて下さい。
 
 映画
『マイ・ドッグ・スキップ』   アメリカ映画2000年 (ビデオ出てます)
 
 
実話に基づいた原作者本人の幼少期の話で、1匹のジャックラッセルテリアを通して成長していくストーリーです。
決して派手な映画じゃないのに、アメリカでは半年間も映画館で上映され続けていたことを見ても人気の高さが分かるでしょう。
同じ人間関係が、そこに犬が一匹入るだけでどう変わっていくかが見ものです。
この映画で印象深いのは、中盤で、隣に住む実のお兄さんのように慕う人に対してのイライラを少年(作者)が犬に八つ当たりしてしまうシーンです。
その時の感情に任せて犬を叩いてしまうと、犬の気持ちをひどく傷つけることになることが分かる、教訓めいたシーンですよ。
あとは、ラストで、少年のベッドの上で眠る犬のどこか寂しげな寝姿。これにつきます。
全体的にもジメジメドロドロしたところがないので、老若男女、誰にでもオススメできる映画です。
  音楽  曲名 『いつもゴールデンかラブラドール』・・・CDアルバム『MIRRORBALLISM 3』より 
                           アーティスト ダンス☆マン   発売元エイベックス・トラックス
笑っちゃいました。
歌詞に爆笑!
あまり犬が主役の歌って、ないですからね〜。その意味でも貴重でしょ。
あるミックス犬が恋するのが、なぜかいつもゴールデンレトリバーかラブラドルレトリバーだ、というのが曲名の意味です。
バラード調なのにとても笑える曲です。
ちなみにホイットニー・ヒューストンの曲『GREATEST LOVE ALL』にオリジナル日本語歌詞をつけた歌なので、ホイットニーファンの人にもオススメです。
ぜひ聞き比べてみてほしいですね(笑)。

   映画
『ドッグショウ!』    アメリカ映画2000年(ビデオ出てます)

題名どうり、ドッグショーに出場する何組かの参加者の生活をコミカルに描いてます。
後半はドッグショー当日の話ですが、
「ドッグショーって何するの?」という人にも分かりやす〜く作られているので、途中から理解不可能・・・とはならないでしょう。
全体を通してチクチクと皮肉が利いていて、ドッグショーが好き、嫌い、よく分からん、と考えはそれぞれでも楽しめると思いますよ。
ラストはそれぞれの出場者のショー後の生活の変化を描いています。
そこでこの映画を作った人のショーに対する考え方がチラリチラリと見えてきます。
見どころはやっぱりショー当日。
ドッグショーのことをよく知らない司会者役の人が、解説者のショーハンドラーに細かい部分まで根掘り葉掘り聞きまくり、
その答えを聞いた司会者が辛口のジョークを返すの繰り返しのシーン。この掛け合いがサイコー!
笑えるし、ショーのルールも分かるし、一石二鳥。
この辺はさすが、何も知らない人・イヌも飼ってない人にも充分に楽しめるように気を使っていて良いですよ〜。
ただし、犬がしゃべったり冒険したりはしないのでその辺はお間違いなく。
あくまで人間の話がメインですから、ハイ。

  『EQ こころの知能指数』 ダニエル・ゴールマン  土屋京子〈訳〉   講談社

1996年が初版の本です。古本屋に置いてある可能性は大だと思います(苦笑)。
「あれっ、この本は犬とは関係ない・・・・・」と突っ込まれても仕方ないほど犬ではなく、カンペキに人間の行動心理の本です。
この本がオススメな理由は2つあるんです。

一つは、犬の成犬の知能は人間の五歳程度だ、と言われているぐらいですから、部分部分で「ああ〜コレ、犬にもあてはまるなあ〜」なんて箇所があるからです。
中でも“怒り”に対する対処法は、読んで損ナシ!
やはり人間も動物。衝動的な行動っていうのは動物的な本能で、人も犬も共通点はあるもんです。
他にも「恐怖」・「不安」の箇所も参考になると思います。

もう一つは、犬の問題行動は世話をしている人達が原因の場合が多いので、自分自身を見つめなおすのもいいんじゃないかなあ、と。
今までに伺った家庭で、悪い事をした犬に対して感情的な叱り方をしてしまい逆に噛まれてしまったケースがありました。
犬は人間の感情を読むのが得意ですから、何かを教える時・たしなめる時は“冷静”にならないとうまく伝わらないものです。何らかの理由で興奮している犬に対して興奮状態の人間がたしなめてもうまくいくはずがないわけです。
その辺の気持ちのコントロールのしかたの参考にはなると思いますよ。

  
    
     小説『ブル』  高橋三千綱 著          講談社文庫

1988年が初版。古〜い小説でスイマセン(苦笑)。
古本屋さんに場所によってはあるかなあ〜ってところです。

ある夫婦と飼い犬「ブル」の物語です。
ブルは呼び名で、パグという犬種の犬です。
主人公夫婦が、仕事(映画製作)のこと犬のことで苦難を乗り越えていくストーリーです。

このブル、かなりの神経質プラス過剰な警戒心!
幼い頃から来客に噛んでしまう、それも遊びではなく、つまりかなりの問題犬!
なぜこんな神経質なのかは(生まれつきではなく理由があります)
ストーリーに関わることなので書きませんが、この小説ではただ「ブルが噛んだ。」で終わらずキチッと噛む時の犬の様子を描いているので、ブルの姿が頭に浮かびやすいですよ。
とうぜん普段のブルのことも細かく描いてあります。
イヌに接してない人には絶対無理なぐらいリアル〜に描けています。
そしてこの犬はよその赤ちゃんに怪我をさせるという最悪のパターンを出してしまいます。
現実の世界でも何年か前に、実際に赤ちゃんをかみ殺してしまった犬がいてニュースになってましたね。悲しいことです。
この小説では、赤ちゃんは軽傷でしたが、このままでは結果は火を見るより明らか!です。
そこで主人公はブルを更生させようとします。そして・・・・・・治してしまうんです。
もちろん治すプロセスもしっかり描いています。

この作者はドッグトレーナーか?!と思えてしまうぐらい理にかなった治し方で、読みながら大納得!のラストでした。
主人公夫婦にはすべて(仕事など)がハッピーエンドとはいかなかったけど、ブルにとっては最高のラストになってます。

ちょっとストーリーのヒントにもなりますが、幼い頃のショッキングな出来事からトラウマ(心の傷)ができ、恐怖心から噛むようになってしまった犬を治す参考には大いになると太鼓判を押します。

   小説 『影のドーベルマン』 笠原靖        光文社文庫

アフリカが舞台のハードボイルドっぽい話です。
南アフリカ共和国でかつてあった、アパルトヘイト(有色人種差別政策)。
そこから続く人種差別に利用された犬のことや軍用犬などが織り交ざったハッキリ言って重いストーリーです。
ストーリーはフィクションですが、実際に、特定の人種に攻撃するように犬に教え込むことが過去にあったようです。
そうまでしなくても、国によっては、治安の悪さから大型犬を“番犬”としてのみ飼う家が大多数だということが今でもあるのが現実で・・・・これも嘆かわしいことです。
この小説で気になったのは結末!
この結末がどうにも気になるんですよ。これはハッピーエンドなのか?いやこれは最悪の結末なのか?
この本の巻末の解説でも触れてるように、読者それぞれ賛否両論あるであろうラストが気になる一冊です。

これに近からず遠からずのストーリーで、直木賞を受賞した
『凍える牙』 乃南アサ  新潮社
もオススメしておきます。


   小説 『ダックスフントのワープ』 藤原伊織       集英社文庫

すばる文学賞受賞作だそうで、なるほどナットクいい話です。題名からだと童話っぽいけど、ちょっとちがいます。
現実の話と想像の話の同時進行とでもいうか・・・・・。凝ったつくりになってます。短いので読みやすい本でした。


   本 『犬たちの知られざる超能力』 ジョエル・ドゥハッス著  渡辺格・塚田導晴 訳     早川書房

このコーナーにはめずらしく新書オススメです(苦笑)。
犬の隠された“力”を実例をあげながら解説しています。
といっても著者自身も科学で説明しきれないことを認めつつですが・・・・。
普通は実例を挙げておしまいの本が多い中で、ちょっと新鮮でした。
読んでいくと、他の動物とは違い、犬の場合はその「驚異的な能力」について研究が進めにく〜〜いワケがよ〜〜く分りますよ。人との結びつきが強すぎるために実験がしにくいんですね。感情が人によっても左右されてしまうってことで。
だからこれからも解明はムリっぽいのが分ります。
中に、人と犬のテレパシーの話があり、「ア〜これはウチのもできるんじゃないかなあ〜」と考える人も多いんじゃないかと思います。
家でできるお手軽な実験方法も載っているので試してみるのもオモシロイと思いますよ。
犬によって「能力」に差があり(これは科学的に証明されている)、絶対できない(?)できるけどやらない(?)犬もいるでしょうね。ちなみにウチのワンコのテレパシーは・・・今の所・・・今度こそ・・・まあそれも個性、個性!(苦笑)


   本 『フォックス先生の犬マッサージ』 Dr.マイケル・W・フォックス   山田雅久・訳     新潮社

この本での『マッサージ』とは触ること全般の意味で、マッサージの入門編的な本です。
読みやすく作ることが目的だったらしく、内容がスッキリサッパリしていて気軽に読める本ですよ。
イヌの体の頭から始まり尻尾までのキモチイイ撫で方のコツを教えてくれます。
この本にも書いてあることですけど、犬を上手く撫でられるってことは、リラックス効果・病気予防や早期発見・そして忘れちゃならないしつけ上の効果もバカになりません。
さらに、犬が病気になったり人に預けなければいけなくなった時は、どうしても他人が触ることになりますからねえ。
そんな時にも触られ慣れてるイヌは、精神的にも落ち着きが早くなって動物病院の先生も診察に専念できるから、良い事ずくめ。こういう撫で方専科の本ってあんまり見ないので、その意味でもオススメです。


   エッセイ集 『犬たちの伝説』    内田康夫・早坂真紀 編             光文社文庫

十数人の色んなジャンルの作家さんの、犬にまつわる実体験を集めた本です。
“犬(動物)好き”と一口で言っても、人によってこ〜んなにも違うものか?!と驚く、どれもインパクトのあるいい話でした。
犬好きだけど飼わない(飼えない)人、以前は飼ってたけどもう飼わない人の話もあり、バラエティーに富んだ内容でした。
「犬のHOW TO本」とはまた違うイヌ知識もひろえてベリィ〜グッド!


    小説 『白い犬とワルツを』   テリー・ケイ     兼武 進 訳      新潮文庫

 長くベストセラーを続けている本です。
足の不自由な老人と“不思議な”白い犬の話です。
この白い犬が、ストーリーの中で出しゃばり過ぎず、イイ味出してます。
゛老い"がテーマのストーリーながら、犬のおかげで重くなりすぎず、サッパリしています。
高齢化社会をむかえて、これからもず〜っと読み継がれていってほしい、現実的で、意味の深〜い中身の濃い一冊だと思います。心があったかくなれますよ。


    ミステリー小説 『パーフェクト・ブルー』
              
 『心とろかすような マサの事件簿』   宮部みゆき   創元推理文庫

元警察犬のシェパード犬「マサ」が語り部になって、事件を解決していくミステリー。
犬の目線から話が進むっていうのが、ちょっと新鮮です。
特に『心とろかす〜』の方が、より犬好きにはグッとくる内容になっていてオススメです。


    文芸コミック『犬を飼う』谷口ジロー  小学館文庫

ある夫婦と死期の迫った老犬の物語です。
泣いちゃいますよ。
作者自身の体験に基づいてるそうなので、動物を飼っている人には我が身のように胸にグサッとくるリアルな内容だと思います。でも前向きなストーリーなので、読んだ後はスッキリした気持ちになれますよ、きっと。こういう本、みんなで読んでれば動物傷つける事件なんかも減るんじゃないかなあと想う一冊です。
・・・・(ご紹介ありがとうございましたセタママさん)


    『ベルナのしっぽ』 郡司ななえ  角川文庫
    文庫版がでました。
    盲導犬『ベルナ』と郡司さんの出会いから別れまでを書かれている感動の一冊です。
    それに、実際に盲導犬と街を歩く著者ならではの、盲導犬に出会ったときの注意点などが書かれてるので
    しっかり読んでほしいですね。

    『ムツゴロウの動物交際術』 畑 正憲  文藝春秋 

かなり内容濃く、読みごたえ満点!
以前はTVでムツゴロウさんが世界各地で猛獣珍獣と体当たりで仲良くなっていく様子を紹介してましたよね。
でもそれは映像だけで終わってしまっていた部分が多く、なぜその動物の前でそう動くと仲良く慣れるの?の説明は足りなかったでしょう。TVの限界ってところで。
この本ではその辺の実例をタップリ紹介してます。
猛獣珍獣の前で這いつくばったり、舌を出したり、適当にやってるようでちょっと滑稽にも見えたり(笑)、でも実は経験に基づいた行動学的に説明がつく動きだということがよく分かります。
イヌ好き・ネコ好き・サル好き・ウマ好き・ゾウ好き・クマ好き・・・・と誰が読んでもオッケー。
考えてみると、こんな濃い中身の本を書けるのは世界中探してもムツゴロウさんの他にあんまりいない、かもしれないですね。
動物行動学、生理学、心理学、医学のオイシイトコドリです。特に哺乳類。
人間の同じ行動でもイヌはオッケー、ゾウもオッケー、でもサルはダメ、とか。
ネコ科同士でもイヌ科同士でも共通するしない部分がある、とか。
そしてラストに何ページにもわたって、最近のイヌを取り巻く環境について一石を投じています。
ウ〜ムと唸り、考えさせられました。
長年、イヌをはじめ動物と向き合ってきたムツゴロウさんだからこその、動物(イヌ)と人との関係についての非常に説得力のある、厳しい意見が読める、永久保存版的な一冊でした。


    『ドイツの犬はなぜ幸せか』   グレーフェ アヤコ     中公文庫

よくテレビなどで、なにかにつけ「日本は欧米に比べてまだまだ・・・。」と比較されますよね。犬についても同じく。
この本では、じゃあヨーロッパ(ドイツ)ではどうなんだい?という疑問によく答えてくれてます。
ドイツといえば、シェパードが人気犬種。それだけでも、日本との差を感じます。
ドイツで暮らす著者ファミリーと飼い犬のドイツでの日常生活の中での話なので、説明調でなく気楽に読めていいですよ。
犬との旅行・宿泊・飲食・散歩・しつけetc・・・・と内容もバラエティに富んでます。
ドイツといえど様々な飼い主がいる事も客観的に書かれています。良い悪い含めて。
やっぱりお国柄はあっても最後は飼い主の考え方しだいということですね。
                            


     『犬と旅した遥かな国スペイン・ポルトガル』  織本瑞子  JTB

これは著者夫婦が愛犬(ミニチュア シュナウザーのオス)マグと共に日本を出発しての、およそ一年間(スゴイ!)のスペイン・ポルトガル旅行を書いた本です。
上の本とは違い「旅行記」なので、特に犬連れでの宿探し、食事、移動、観光のオモシロエピソードがかなり細かく書かれてます。
このご夫婦は普通のツアー観光ではなく、むしろ観光地ではない場所に数日、数週間と滞在してその土地を楽しむやり方を通したのでガイドブックレベルではない、かな〜りディープな内容!
犬と旅行するとなると、まずは宿泊施設ですよね。
それもその日の宿をとびこみで探すとなると日本じゃあタイヘン。
スペインでも犬ダメの所はもちろんあるけど、そこはさすが!
ダメなほうが゛犬ダメ表示"をする、何もない所は基本的に犬オーケーというのがお国柄。
さらに゛犬ダメ"でも、しつけがしっかりしていることをアピールしたり、そこの人と顔見知りになっていたり、チップをはずんだりするとなんとかなったりすることも・・・(笑)。
このゆるさ、いいですよね。
どうやら犬を連れてることで「良い人・信用できる人」もアピールできるようです。
ただ、都市によっては、犬禁止の場所が集中していて犬連れでは泊まれずに通り過ぎるしかない、なんて所もあるようで。
まあ多少はあるのも仕方なしでしょう。
有名観光地は特に。
なにしろ、犬にリードをつけないの当たり前、フンはそのままに、の国ですからね(笑)。
でも観光名所の建物の中に犬と一緒に入れるところがちゃんとある。
日本だと・・・書くだけムダ(苦笑)。
ようは犬と一緒にどこでも入れるのが゛普通"なんですね。
羨ましい〜。
それにしても犬を連れての旅行は人だけの旅行と違い思わぬ出会い、ハプニングがあって面白い。
ちなみに、このご夫婦は1年間もの長きにわたりスペイン・ポルトガルを廻って、1回もドロボーに遭わなかった(!)そうで、これも犬を連れているおかげで不慣れな観光客に見えないのが幸いした、てことで。
こりゃあ、良い事ばっかり!!!


小説『ダミアン物語 神さまを信じた犬』  ダイアン・ジェサップ著 仲村明子訳  徳間書店

一見ファンタジックな題名ですが、中身はとても重いストーリーです。
人間の医療研究のために大学に置かれている「実験動物」としての犬。
その中の1頭、アメリカンピットブル「ダミアン」と1人の女子学生の物語です。
作者が現役のドッグトレーナー(!)ということで、犬のこと、実験のことなど事実に即した部分が多く、ノンフィクションといっても信じてしまうぐらい。
まあちょっとはフィクションらしいところはありますが・・・。
この話の中では、
「犬を実験に使う人」「犬に知性なんか無いと思ってる人」や「犬が好きな人」「犬に興味なしがありに変わる人」など立場によって色んな考え方の人が登場します。
犬が好きな人には「かわいそう」な境遇も、人によっては「別に」とか「しょうがない」になる。
その辺が現実の世界とオーバーラップしましたね。
そして、犬の側からの心境の変化も、擬人化せずにあくまで動物「犬」として克明に描いていて、まさに現役ドッグトレーナーの真骨頂を発揮しています。
「実験動物」についてや犬種「アメリカン・ピットブル」の偏見・誤解について・・・いろいろと考えさせられる内容でした。
(ご紹介感謝!セタママさん)


『Dr.ノムラの痛快ペット治療術』 野村潤一郎  新潮社

笑えます。
文章なのにマンガ本みたいにスラスラ読めるし。
動物病院でのハプニング集とでもいうかなあ、そんな内容です。
この先生の『飼いたい新書』を前に紹介したけれども、あれよりもさらにブロークンな書き方で面白く読めました。
ほ乳類から爬虫類、魚類まで診ちゃう先生だから、ところどころに出てくる情報がけっこう雑学の知識にもなってオトク。
この先生の、ものすごくエネルギッシュな人となりも伝わってくる一冊。


MUSIC  曲名『小渕君の犬のうた』  CDアルバム『grapefruits』より
                 アーティスト   コブクロ      発売元ワーナーミュージックジャパン 
    

アルバムとして聴いてて偶然見つけた一曲。
特に詞がGOOD!
悲しいこともポジティブに考えちゃう詞が、聴いてて気持ちイイ。


いざというとき役立つ犬と猫のための災害サバイバル     香取章子  学習研究所

主に阪神・淡路大震災、有珠山噴火、三宅島噴火を例に被災犬、猫のその後を追いながら、災害に対しての心構えを書いた本です。
なにかの災害が起き避難する時、飼い犬はどうしますか?
ケース・バイ・ケースというより例外なく(!!!)災害発生時は、家を離れる時には犬も一緒に避難した方が賢明なのが
この本の中の実例からよく分かります。「避難後に立ち入り禁止地域になってしまう場合がある」ということも含めて、あとで連れに戻るのは現実的ではないようです。

ニュース番組では被災者のその後は、時々取材して流れてますが、被災犬、猫のことは・・・・どうでしょう。
この本ではイヌネコを飼っている家庭で、知りたいであろう知っておくべき現場のデータが生々しく書かれています。
様々な側面から書かれていて、ぜひ全部紹介したいところですが、ドッグトレーナーとしてしつけ面についてひとつ。
日常的に基本しつけ(呼びもどす、座らせる、待たせる・・・等)がイヌに出来ていないと、いざ災害時にパニックをおこしていると抑えきれませんよね。
それは本人はもちろん周りの他人にも迷惑、危険なことです。
さらに複数頭飼っていたら・・・危険度もさらにアップ!
でも何がどう困るか、遭ったことが無いからよく分からない、緊迫感が湧かないのもしかたないですね。

そこでこういう本を読んで、少しでも危機意識をもてたらいいかな、と思いました。
実際、著者も取材を通じこの本を通じてしつけについてきびしく指摘していますので読めば分かってもらえると思います。

上の本にもその様子をレポートされていますが、阪神・淡路大震災においての被災動物の救援活動をしていた方々の1人が書かれた本もあわせてオススメしておきます。

犬と分かちあう人生   エリザベス・オリバー        三村美智子訳 晶文社出版 
これは大阪で保護活動されている著者の自伝で、その中にさらに詳しく地震当時の現状が描かれています。この方自身被災され、その様子をリポートしています。

そしてこの時を含め世界中で活躍する『
災害救助犬』。
知ってますか?
少しでも興味が湧いた方には 
災害救助犬が行く   ハンク・ホイットモア&キャロライン・ヒーバード   松井みどり訳  新潮文庫
 この本をオススメします。実際に活動している犬と人の心情がよく分かります。

この3冊以外にも探せば良い本はあるでしょう。
でも災害と犬(猫)に関する本は、当事者がかかわってないと書きづらい内容だからか少ない気がします。


いぬ・ねこ愛育許可書 ―ポッポ先生の動物病院日記―  塩田眞     リヨン社

いわゆる動物病院のよもやま話中心ではあるものの、
「うわっ、ぶっちゃけトーク炸裂だ〜!」と思わず叫びたくなるほど獣医さんのホンネ満載です。
ちょっとビックリでした。
このての本には当然期待したい豆知識に関しても大、大満足。
特に著者なりのデータからの研究結果も載っているので、新鮮なネタ多し。
中身が濃いのにやわらかい文章なのがオススメのポイント。



犬は三日飼えば三年恩を忘れないは本当か?
イヌのオモシロことわざ学  小方宗次  PHP文庫

これは犬に関する沢山のことわざとその意味から、さらに話を掘り下げている本です。
著者が獣医学の先生なので、掘り下げてる内容もバラエティに富んでいて飽きなかったですね。
いやあ、こういう風にまとめて読んでみると、犬にまつわることわざって国内外含めるとけっこうあるもんですねえ。
でも、やっぱりというか、相手に対して卑下するようなことわざも多い。
昔の人の、犬に対するイメージはことわざによく表れてますね。
良い悪い全部ひっくるめて、「昔の人はウマイこと言ったもんだな。」と感心してしまいました。
でも、ことわざって憶えてても使う時がなかなか無いですよねエ(笑)。


 絵物語 ハラスのいた日々    小田桐 昭 中野孝次 橋本シャーン   文藝春秋

少々古い本で恐縮ですが。
絵物語・・・まあ、ようはマンガです。
まるでエンピツの下書きそのままのような独特なタッチで、人間クサイ温かさが伝わってくる絵柄です。
ともかく、゛あったかい"。
この表現がピッタリな絵です。
この本では、著者の中野さんがハラスを飼うことになった悲しい運命的なエピソードと、老犬となっての数年間の出来事を中心に描かれています。
飼う前は、旅行が多くて犬なんて飼うのはムリ、生き物はイヤ!とまでと言っていた著者夫婦が、最終的には「私たちの人生に欠くに欠かせぬ存在になった・・・」とハラスとの日々を振り返る。
「ハラスがいなかったら・・・その13年はずいぶんつまらないものだったろう」と語る。
な〜んかイイですよね。
難しく考えることなく、心底癒されました。


 ウルフ街道   笠原 靖      光文社文庫

表題作『ウルフ街道』と『夏の終り』の二編からなる本です。

『夏の終り』は、まあ、好き嫌い分かれる話だと思いますね。
最後まで、「オイオイそりゃないよ」なことばかり。

E・A・シートン著の『狼王ロボ』って知ってますか?
19世紀末、ニューメキシコ州北部を支配した実在した狼「ロボ」の話です。
『ウルフ街道』は、主人公の日本青年が昔読んだ『狼王ロボ』に魅せられて、ある日会社を辞め渡米、ロボの活躍したニューメキシコでロボを知る人を訪ね歩き、自分なりの答えを出そうとするストーリーです。
その昔、オオカミは人を襲う悪獣だ、という間違った考え方から殺されて今では世界中で激減しています。(日本は絶滅してしまいましたね。)
さすがに知能の高い狼たちも、遠くから銃で撃たれればあっけなく死んでしまいました。
銃は・・・・・あっけない武器ですね(最近つくづく思う)

そんな世の中でもずば抜けた強さを持ち、危険回避に優れたロボがなぜ、人間に捕らえられてしまったか。
どんなパーフェクトなものにも弱点はあるものですね。
なんか、人でも何にでも当て嵌まるんですよねえ(実感)。

ロボの末路を探るストーリーながら、主人公にとってはハッピーエンドで、読み終わって心地いいラストでした。


7/4
本 犬が好き猫が好き 心のチキンスープ15  ジャック・キャンフィールド マーク・V・ハンセン マーティ・ベッカー キャロル・クライン 編著 
                                      福岡佐智子 訳   ダイヤモンド社

「心のチキンスープ」シリーズというのがあり、一般の様々な境遇の人たちからの実体験談をテーマごとに編集してまとめている、その中のこれは15冊目となるようです。
テーマは題名とおり犬、猫にまつわる実話集で、全体の流れとしては“癒し系”ですネ。
こういう短篇集で癒し系の本はどうも当たり外れが多く(アハハ〜)、今までもこのコーナーで紹介するほどではない(苦笑)本が何冊もありました。
が、これはマルです。いいですよ〜。
1話が2、3ページという超短編なので余分な説明がなく、それでいてセンセーショナルな内容で引き込まれました。
この中に登場する人物の境遇は、拒食症だったり、ガンを患っていたり、戦地の軍人だったり、とさすが世界中から集めただけあり様々です。
その人達が犬や猫と接することで色んな形で癒されていきます。
いやあ〜よかった。
ジ〜ンと胸に染みましたよ。


7/7
本 
哲学者になった犬  スタンレー・コレン著  木村博江 訳     文藝春秋

犬と人とのかかわりを様々な事実、物語、宗教から語っています。
一つのテーマごとの軽い短い話の連続ですので、「なるほどねえ〜」とパラパラ読み流せて、肩の凝らない構成になってます。この中で紹介されているある神話では、この世と天国とを結ぶ橋の番を任されているのが犬で、それは彼らが人間の本性を正しく見抜けるからで、この世で犬をいじめ傷つけた人は天国に生かせてもらえないんだそうです。
ウン、いい話です。
これを聞かせたい人が多い殺伐とした世の中ですからね。
ノーベル賞受賞作家のモーリス・メーテルリンクがこう書き記しているそうです。
「人間はこの運命の惑星でただ1人、ひたすら孤独な存在である。そして私たちをとりかこむ生き物の中で、犬だけが人間と手を携えた。」
もちろん心を通わせることが出来る動物は犬だけではけっしてありません、が、これはこれで名言だと思いました。


7/30
本  
ドクター・ヘリオットの犬物語  ジェイムズ・ヘリオット著  大熊榮 訳      集英社文庫

これは獣医師になった著者がイギリスの片田舎で病院を開き、そこで出会った一癖ある飼い主と犬のエピソードに少々の脚色をくわえた短編集です。
実話そのままではないことは、もはや気になりませんね。
本業が獣医師でありながら数多くの本を書かれた方だけに、実に読ませる文章でした。
中身のポイントは田舎の話だということで、全体的に表われる牧歌的なところです。
のどかですよ〜ゆったりした気分になります。
都会の雰囲気とはあきらかに違いますねエ。
かといって獣医学的なことに関しては事実そのままなので、緊張感もあり、どの犬でもありうる話ばかりで引き込まれました。
甘やかして肥満犬にしてしまったり、無鉄砲な犬が冬の川遊びで肺炎になったり、生涯で1回しか吠えなかった犬などなど、国が違っても犬が違っても同じようなことが起きるもんですね。
文庫本ながら挿し絵もタップリ入っています。イイですよ〜。
雄大な草原や、エピソードに登場する犬たちなど、その場所の雰囲気が想像できるような絵たちです。
これもオススメの大きなポイントです。


8/14
本  
犬の弁護士事件簿  リンダ・A・コウリー 著    朝倉あや 訳      河出書房新社 

これは、アメリカで実際に活躍されている、犬の法律相談を専門とする弁護士さんが、相談を受けた数々の犬の関わる事件を紹介した本です。
アメリカは犬に関して、日本より遥かにオープンな国ですね。
全体的な犬へのしつけのレベルも高い。
それについては今さら言うまでもないことですが、でも半面、犬の問題行動を扱う専門家が数多く活躍している国でもあります。
それはそういう犬が多い証明にもなっているわけですね(苦笑)。
けっきょくは、個人個人1頭1頭に絞れば、犬についてのトラブルはどの国でも起こることなんですね。
そして訴訟の多いことでも、アメリカは有名でもありますね(苦笑)。
そんな中で著者は活躍されているわけですが、いやはや本当に様々なトラブルがあるものです。
そしてその解決方法も様々。
そのプロセスが細かく書かれています。
アメリカが州によって、犬に関する法律や考え方の違いが大きいのにまずビックリ。
州によっては、犬の弁護はムリに近いほど、問題を起こした犬にたいして問答無用に厳しい所もあるようです。
そして、裁判になったら、判事が犬好きか、犬の訴訟を軽んじているかいないか、検察側が誰で犬の習性を知ってるのか知らないのか、被告の評判、原告の評判、犬の前科などなど、そのトラブルごとに色んなことを考えなければ争いに勝てないことが克明に書かれています。
時には、不本意でも罪を認めることで、飼い犬の命が救われることも・・・。
本格的な裁判になる前に双方の取引で傷み分けしたり。
もうキレイごとだけではすまないんですね。
犬とその飼い主一家の先の平穏を保つには、争いに対して勝ち負けにこだわれない現実があるのがよく分かります。
法律の違う日本には当て嵌まらない事例もありますが、日本でも同じく起こっているトラブルも多く、強く考えさせられる内容でした。


9/25
本 
パリ犬物語  文 ミツコ・ザハー  絵 こぐれひでこ  主婦の友社

この本はフランスに移住した著者が25年以上の生活の中で感じた、フランスでの犬の可愛がられ方をまとめたものです。
さてさて、ヨーロッパといえば、犬の発展を語る上で絶対外せない場所です。
その中でフランスってどんなお国柄?
実際に暮らしてみないと分からない日常生活でのフランスの、犬に対しての国民性が書かれています。
生活に密着した部分で書かれてるので、頭にパッと風景が浮かんできました。

日本人の著者のご主人がエジプト生まれのレバノン人、さらにパリは都会がゆえに色んな国のコミュニティーがあって、そこでも犬に対しての考え方の違いがあるようです。
宗教によっては犬は不浄なものにもなるので、その辺の観察にもこの著者ならではの体験話があって、飽きない内容でした。結論的には、フランス人には子供に厳しく、犬には寛容という国の気質が強く流れてるようです。

そして著者は豪語してます。
フランス特にパリは、庭付き一戸建てで飼ってるほうが僅かで、集合住宅で犬を飼ってるのが当たり前の都市。
とかく「犬といえばイギリス」といわれるが、住宅密集地で人と犬がうまくやっていくノウハウに関してはフランス(特にパリ)が世界で一番だ、と。
犬を飼い始める前は、街で会うフランス人の気質に嫌な部分を感じていた著者が、犬を飼い始めてガラリとその悪い印象を掃ってしまったことで、この言葉にも説得力が増してます。
ウ〜ム、国民性恐るべしっ(???)


11/30
本   犬の日本史 人間とともに歩んだ一万年の物語        谷口研語 著          PHP新書

縄文人、弥生人の時代までさかのぼり、日本における犬のポジションを当時の文献なども引用しながら書かれた本です。個人的に気になってたことがあったので、読んで納得できました。

それは、犬公方と呼ばれる徳川綱吉の「生類憐れみの令」。

この人、歴史上でも浮いてますよね〜。
後にも先にも、歴史の教科書で動物関連でしか紹介されない将軍は、この人ぐらいでしょ。(苦笑)
一説には、この法律をつくったのも特に犬が好きだった訳ではなく、占いを狂信的に信じたので施行した・・・という話があって、私も勝手にそういう人物なんだと納得してました。
でもこの本によると、どうも動物愛もちゃんとあってつくった法律のようで、そのことだけはうれしかったですね。
あ、もちろん(!)、これはとんでもない悪法であり、綱吉の死後撤廃され、今まで虐げられてきた江戸の人々のうっぷんが、犬に向けられ、大変な不幸をもたらしたことは忘れてはいけませんね。
そのことも克明に説明されています。
どうも法律施行中も、必ずしも犬にとって良い事ばかりではなかったようで、当時の犬にとっても迷惑な法律だったようです。この綱吉の時代は、犬とっても人にとってもターニングポイントになったようで、かなりのページ数を割いて説明されてます。
もちろん、さらにさかのぼった時代の文献からも、当時の犬の扱われ方が想像できて、なかなか勉強になりましたよ。
(ご紹介感謝!モモ、レイコママさん)


12/12
ミステリー小説 
愛犬マックス誘拐DOGNAP   関口哲平   徳間書店

これはなかなかのミステリー小説です。
名前をマックス(ミニチュアダックス)というある夫婦の愛犬が、ある人間に誘拐されるストーリーです。
犬を誘拐???ピンとこないでしょ。(苦笑)
そこをあえて題材にして、細かい部分まで現実に即して書かれてます。
フィクションなんですが、決して荒唐無稽でもコメディでもなく、どこかで起きそうなそんなリアル感があります。
今でも昔でも動物を飼ったことがある人に、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
きっと考えさせられるところがあるはず。
ミステリーで感動できる本って久しぶりでしたね。超オススメ!


本 ダーシェンカ  カレル・チャペック  伴田良輔監訳  新潮文庫

チェコの作家が愛犬に言い聞かせるように書いたおとぎ話集です。
写真、イラスト入りで犬に関わる話を、愛犬ダーシェンカに、ある意味でデタラメな語りをしていてほのぼのしましたね。
発想がとても楽しい。


12/16
時代小説   
犬吉   諸田玲子      文藝春秋 

先に紹介した「犬の日本史」よりの生類憐れみの令について、私にとってこの本はタイムリーでした。
この小説はちょうどこの時代の話で、生類憐れみの令により、当時「御囲(おかこい)」と呼ばれていた野良犬の収容施設で、お犬さま(!)の世話をしていた犬吉(女性)が大変な事件に巻き込まれるストーリーです。
事件そのものはフィクションですが、当時の犬の扱われ方は歴史的事実としてこと細かく描かれています。
事前の取材をしっかりして書かれたようで、描写がリアルで当時の御囲の中での生活の様子がよく分かりました。
「お犬さまを大事にせよ」とのお上からの御達しがあっても、実際の現場ではあまりに頻繁に犬が増えるものだから、現代の悪徳ペット業者のようなずさんな管理のされ方になってしまっていた部分もあったようです。
病犬や死亡犬が出たときには役人のチェックを受けてから、その後の処置を決めることになっていたり、世話をする人たちが粟を食べてるのに犬の食事が米と魚だったりと、どこかちぐはぐな優遇が人々の不満を蓄積させていたことが事件のカギになってます。
そして、忠臣蔵とリンクする時代であることが、結果的に犬と人の間でショッキングな事件を生んでしまう内容です。
歴史的な流れも分かり、ラストは感動できるオススメな時代小説です。


2005年UP〜
本  
アッシュと歩いたヨーロッパ    坂本徹也   主婦の友社

ペットジャーナリストとして活躍されている著者夫婦が、愛犬アッシュ(ミニチュアシュナウザー)とともに、のべ65日間のヨーロッパ旅行に出かけたことをまとめた旅行記です。
ワイン探求とドッグショーの観覧を目的にしているので、それにちなんだ場所を中心に宿泊しながらの旅行です。
さすがはペットジャーナリスト、目の付け所が細かくてマニアック。
一般の人の観察レポートでは書けないなあ、と思う部分も多くて、読みごたえありました。
各地のドッグショー会場や街中で会う犬とは、どの犬もしつけが行き届いてる・・・わけでもなく(!)、土地柄や飼い主の個性も影響しながら、時には危機一髪なんてこともあったようです。
日本に比べれば、ヨーロッパの犬への寛容さはすばらしいものですが、その価値観は場所場所でずいぶん違うものですねえ。
犬に関して以外の記述も多く、バラエティに富んだ面白い内容でした。


本  ペット探偵の事件簿     白澤実    徳間文庫

迷子のペットを捜索することを専門にしている著者が、小説風に実例を紹介しながら、そのノウハウなども解説してくれてます。
依頼者それぞれの人間模様を追ってみたり、仕事の上で接する保健所や動物病院、ペットショップなどの現状などに苦言を呈していたり、個々の捜索術を披露したりと、かなりディープな内容です。
もともとは獣医さんを志して大学で勉強された方だそうで、その専門知識をイヌとネコの捜索方法にも生かしてる様子を分かりやすく書いてくれてます。
飼いイヌネコとはぐれる、なんて経験はそうそう出来ませんよね。
したくもないし。
だからそういう状況のもとで仕事をしている中の話は、かなり貴重なものばかり。
さて、皆さんの飼いイヌネコ、もしはぐれてしまったらどうなるか・・・・・想像できます?


本   猫たちを救う犬  フィリップ・ゴンザレス  リアノー・フライシャー   内田昌之[訳]      草思社

これはアメリカのニューヨーク州で暮らすゴンザレスさんとミックス犬ジニーが出会い、やがて猫を救う活動をするようになる経緯を書いたノンフィクションです。
世の中、犬にまつわる話にも猫にまつわる話にも、それぞれ感動的なものはたくさんあります。
でも犬と猫を合わせた話となると、なかなか本自体が思いつかないです。
犬のエピソード、猫のエピソードには、お互い相容れない見えない壁のようなものがあります。
ちょっとオーバーかな。(苦笑)
このゴンザレスさんも元々は、犬は好きだけど猫は嫌いな人でした。
だから犬を飼いました。
普通ならそこから犬の話が広がるんですが。
ところがある不思議な能力を持った犬、ジニーと出会い、ジニーと共に猫の保護活動をしていくことになり、ゴンザレスさんはどんどん猫好きになっていきます。
それもSFでも何でもない現実の話ですから、とても説得力があります。
読み終えた後、犬好きの人が猫を見直し、猫好きな人が犬を見直す。
きっとそうなると思いますよ。
オススメ!


小説  犬になりたくなかった犬   ファーレイ・モウワット    角 邦雄[訳]      文春文庫

これはカナダで生まれ育った作者の幼少期の物語です。
話の中心は飼い犬のマット(雑種犬)のことで、その強烈なキャラクターに圧倒されました。
作者の幼少期とは1928年ごろで、今とは全く違う価値観の生活の中で、この犬とともに成長していく様子が単純に読んでいて楽しかったですねえ。
このマットは、猫にバカにされないためとよその犬とのイザコザを避けるために、住宅街の、落ちたらケガするぐらいの高さの外塀の上の狭い幅を器用に歩いて移動したり、梯子を登ったり降りたりできたりします。
犬が自分で必要に感じたことを練習してモノにしていく様子に驚きつつ、その面白い書きっぷりについニッコリしてしまいます。

70年以上前のカナダののんびりした雰囲気の心地よさも満喫できました。


小説   めいわく犬   モーリス・ドニュジエール   高山鉄男/高山晶 訳         講談社

悪友一家が長期旅行中の間、飼い犬のボクサー犬ネロ(♂)の預かりを無理やり押し付けられた主人公のドタバタ劇といったストーリーです。
預かったはいいが、この犬は部屋のモノを壊しまくる!散歩中も引っぱりまわしコントロールできない!
もともと、犬を飼ってなかった主人公フェリックスは、生活そのものが変化しネロを中心に1日が廻るようになっていきます。
その後、旅行を終えた悪友が一旦犬を引き取りますが、実はそっちでもネロを持て余していて、フェリックスに要望されたこともありまた譲られます。
最初は本当に嫌がっていたネロのことが、世話をするうちに、フェリックスにとってかけがえのない存在になっていた・・・・。
飼い主と飼い犬の悲喜こもごも物語ではなく、物語の最後にネロがどちらを本当の飼い主として選ぶか、といったちょっとした変化球気味なストーリーが新鮮でした。
作者がボクサーを飼っているということで、「こういう行動、いかにもボクサーぽいなあ(笑)」とほくそ笑む場面が多く、妙なリアル感がありましたよ。


小説   漂泊の牙    熊谷達也            集英社文庫

新田次郎文学賞受賞作だそうで、なるほど色々要素の詰まった読みごたえのある小説でした。
基本はミステリーで、そこに動物文学、冒険小説の要素が入っています。
日本のある町で、オオカミ、らしき動物が人を襲う事件が起きることから話が始まります。
そのため、オオカミの知識が随所に出てきます。
案外、こういうストーリーものの中で出てくる情報は、「へえ〜なるほどねえ」と思うような独特なネタがあって、読んでいて楽しいものです。
けっきょく最終的には、人間が深く関わる事件に発展していきます。
この小説を読み終わるころには、きっと、今まで「オオカミ」という動物に対して「怖い」、「獰猛」なイメージがあった人の印象は変わると断言します!
いやいや、これはけっしてオーバーな言い方じゃないですよ、ハイ。


 うちの犬そろそろトシかしら 老犬との暮らし方ガイド     ごしまれいこ     監修 植松一良獣医師   モダン出版

生き物である以上、犬が老いる、というのは避けられないもの。
この本では、実際の経験談を交えながら、年を重ねた犬との接し方を解説しています。
この本の特長は、老犬と接する上での、気持ち、の問題を重要視している点です。
例えば、犬に健康上あまりよくない食べ物をあげているとして、その習慣を、健康に悪いからといって老犬の域に達してからやめるべきか続けるか。
こうやって文章にしてみると、当然の答えとして「犬を長生きさせるためなんだから、やめた方がいいに決まってる」となるでしょう。
でも実際にいっしょに暮らして、そうやって続けてきた当事者にはそう単純ではないことです。
その答えを出すのは最終的に他人ではなく飼い主さん自身で、それぞれの家で違うでしょう。
でもそれでいい。
無理をしない、頑張り過ぎないことも大切。
全体的な流れとしてこういうことを訴えている本です。
今、老齢期の犬が居る家、これからの家、一読の価値アリですよ。
本  感動をくれた犬たち     大上和博       廣済堂文庫

エピソード集です。
実際にあった、不思議に思えるような話をまとめています。
1話1話短くまとめられているので読みやすく、そのおかげで読んだあとは想像力がかきたてられますよ。
本 ペットフードで健康になる   坂本徹也     光人社

ペットフードについて、くわしく書かれている本です。
ひと口にドッグフードといっても、今、本当にたくさんの種類が出てますね。
選ぶ基準はなんですか?値段?原材料?迷いますよね。
そんな時、こういう本を一冊読んでおくと参考になると思いますよ。
この本では、さらに、値段は割高ながらこだわりのドッグフードづくりをしている会社をくわしく紹介したりもしています。
まだまだ人間の食品に比べると、規制も甘く、外からではよく分からない部分が多いペットフードですので、できるかぎり賢く選びたいですね。
けっきょく最後に背負うのは愛犬ですからねえ。
小説  平面いぬ。  乙一    集英社文庫

ある女の子の腕に彫られた犬の刺青。
その犬が、動き出して・・・。
フィクション(当たり前か!)の短編です。
でもこの刺青犬は、人の言葉を喋るわけでもなく普通の犬の行動をとるだけなので、けっきょく犬を飼っている人の話と同じような展開になっていきます。
奇想天外なお話のようで、実は、犬を飼っている人には思わず「ウンウン」とうなずけるラストになってます。
小説  不屈の犬   笠原 靖   光文社文庫

飼い主の留守中に預け先から行方不明になった、秋田犬と四国犬のミックス犬「リキ」。
この犬が、飼い主さんのもとに帰ろうと、野山を駆ける冒険小説です。
途中で、リキを助けた一家の都合で、アフリカに舞台が移ります。
それでも、もともとの飼い主は、犬を引き取りにアフリカまで足を運びます。
そしてラスト、そこで色々あって、連れて帰るか、置いていくかの選択をしなければならなくなります。
この最後が、けっこう胸にグッときました。
さっぱりと、どんどん話が進むので、全体的に読みやすかったですよ。
写真集 我われは犬である  エリオット・アーウィット     宝島社文庫

文庫版なので載ってる写真の一枚一枚は小さいですが、パラパラ眺めるだけでも和ませてくれる、味わい深い作品ばかりです。
犬が写ってる画なのに、風景写真として見れてしまう不思議さがあります。
思わずニヤッとしてしまう、犬と人との楽しい関係が、写真の中に溢れてますね。
本  新ペットフードにご用心!   押川亮一     宝島社

今、お店ではペットフードはものすごい種類が出てますね。
飼い主さんにとっては、選択肢がたくさんあるのは悪くないことです。
この本では、そんなフード選びに参考になるような、細かい説明がされてます。
今は各社フードがしのぎを削るというか、商品に謳い文句を色々付けたりして、他のフードとの違いをアピールしようと必死ですね。
しかし著者は、ちょっと待て、と。
ドッグ、キャットフード業界について、著者なりの警鐘を鳴らしています。
だからといって、ペットフードをあげちゃダメだという結論になってるわけではないですが、「こんな考え方もできるんだな・・・」と思える、フードの裏の原料表を見ただけでは分からないことが書かれているので、パラパラと大ざっぱに読んでも面白いんじゃないかと思います。
やっぱり人間の食品ではないですから、表示にしても製造過程にしても、規制がゆるいという部分はあるんですよねえ。
10/30
本   
介助犬シンシア     木村佳友と毎日新聞阪神支局取材班      毎日新聞社

介助犬は、盲導犬に比べると、まだまだ知名度も理解度も低いですね。
この本では、木村さんが交通事故で障害者となり、シンシアと出会い、トレーニングをして介助犬の認定を受け、仕事のかたわら介助犬への理解を高める啓蒙活動を進めていくようになる過程が書かれています。
介助犬のことを深く知ることができますし、著者の木村さんのように障害を抱えて生活するとはどういうことなのかを具体的に知ることができます。
強くオススメしたい一冊ですね。
11/3
本   
二歩先をゆく獣医さん    坂本徹也       光文社

各専門分野ごとのスペシャリストの先生方のインタビューを交えて、今の日本の獣医学の現状を深く掘り下げた本です。
治療に関しての最先端技術の話は、著者が直接インタビューしている内容だけに、かなり具体的で読みごたえがあります。
さらにポイントとして、その各獣医師の生の声の中で、専門医の地位がはるかに確立しているアメリカに比べて、日本がまだまだあいまいで、それ以前に獣医大学の教育の段階から問題点があることを、分かりやすく説明してくれている部分は、特に一読の価値あり。
近所の評判で動物病院を選んでいる飼い主さんにも、ちょっとまた違う方向からの選び方を考えるきっかけをくれる本だと思いますよ。

11/12
本  犬連れバックパッカー ―シェルパ斉藤と愛犬ニホの旅物語―   斉藤政喜      新潮文庫

旅をしながらの道中記を書く旅行ライターの著者が、犬を飼い始め、その犬ゴールデンレトリバーのニホとともに日本国内歩き旅をしていく様子が書かれています。
犬といっしょにヒッチハイク、バスや船に乗ったりもします。
北海道の礼文島、利尻島や伊豆大島を一周するんですが、そこで交通機関を使おうとすると、犬がいることでダメで、予定変更せざるをえないことになることも・・・。
著者はその辺のハプニングも犬連れ旅ということで楽しんでますが・・・犬を公共交通機関に乗せようとすることは、日本ではまだまだものすごく特別なことなんですよね。
こんな現状で、盲導犬・介助犬などの補助犬は乗り入れ拒否しないとは言っても、ねえ。
乗せる側がなかなか慣れないって部分もありますよね。
犬連れ乗客が、ごく当たり前に、電車の一両に何組もいるような世の中になればいいですね。
そうなれば、犬を飼っている人の行動範囲がかなり広くなりますよねえ。
読んでいて明るい気持ちにさせてもらえるような陽気な書きっぷりなので、犬を連れての旅の楽しさがたっぷり伝わってきますよ。
11/23
犬エッセイ写真集    犬はどこ?    林丈二       講談社文庫

これはなかなかの掘り出し本です。
1970年代から1990年代に、エッセイストの著者が出会った街中の犬たちの写真が載っています。
この方は街中での調べ物が趣味であり仕事であるそうで、その時に、余ったフィルムを使って街の風景に溶け込む犬たちを撮っていて、それをこの本でまとめたそうです。
国内外の、たとえばブロック塀の風穴から顔だけをひょっこり出している柴犬ミックスとか、街を歩くとよく見かける風景を写してます。
しかも特に犬にズームアップにすることもなく、画面の隅にちょっこと座ってるなんてこともあるぐらいです。
本のタイトルどおり、ちょっと探さないと分からないくらい。
あくまでも、どういう所に住んでいてどんな生活をしているのか想像してほしいってことなんですね。
1970年代の写真なんかを見ると、ホントに時の流れを感じますよ〜。
 
11/23
エッセイ本   五体不満足 完全版   乙武洋匡    講談社文庫

これはベストセラーになった本の文庫版なのですが、この文庫版では「五体不満足」を出版したあとの乙武さんが、いかに辛い思いをし、そして新たな道に進んだことを書き足してあります。
犬とは関係ない本ですが、ぜひオススメしたい一冊です。
しつこいですが、読むなら完全版の文庫本がいいですよ。

12/5
エッセイ写真集  ニッポンの犬    写真・岩合光昭 文・岩合日出子    新潮文庫

日本犬のみを写した写真集です。
のどかな田舎の風景の中で、紀州、秋田、四国、北海道、甲斐、柴犬たちの自然に溶け込んだ姿に癒されますよ。
他では見れないような、かなり貴重なショットもあります。
これを見ると、カワイイというより、精悍!と表現したほうが、しっくりきますね、日本犬は


ミステリー小説 名犬フーバーの事件簿   笠原靖    光文社文庫
ちょっと日本じゃめずらしいハンガリー原産のクーバーズという犬種のフーバーと、飼い主の引退した元刑事の推理ものです。
事件といっても、殺伐としたものではないので、本当にひまつぶしに気楽に読むにちょうどいい内容です。
ただ、犬がしゃべったり、直接に事件を解決するんじゃなくて、あくまでも飼い主のサポート役なので、その辺はあしからず。

   犬が本当の「家族」になるとき  片野ゆか    講談社
犬にまつわる事、しつけから安楽死まで、幅広く深く掘下げています。
著者の意見も織り込みながらも、非常に客観的に書かれていて、強く考えさせられる内容でした。
犬でも人でも、それぞれ個性がありそれを尊重すべきだと、様々な立場の人たちからの取材で、導いてくれます。

小説     秋の猫        藤堂志津子      集英社文庫
柴田錬三郎賞受賞作品、だそうで短編集です。
いわゆるハートウォーミングな内容ですが、すべての短編に犬、猫が重要な役回りをします。
中身はフィクションですが、犬や猫がうまく人と人の間をおさめるんですね。
キレイにハッピーエンドといかないまでも、納得の短編ばかりです。
やっぱり犬や猫が好きってイイよなと、感じさせてもらえましたよ。

本  相性のいい犬、わるい犬失敗しない犬選びのコツ― スタンレー・コレン 文藝春秋
犬と人の性格を分類して、どんな組み合わせが合うかをまとめています。
歴史上の有名人と飼っていた犬との様子を実例に出しながら、独自に犬の各専門家から集めたアンケートなどをもとに、こんな人にはこういう性格を持っている犬種が合う、というように結果をだしていきます。
これから犬を飼おうかなと思っている人にも、けっこう参考になると思います。



エッセイ本  アイメイトと生きる   塩屋賢一   出窓社
日本で国産第一号の盲導犬を訓練した塩屋盲導犬訓練士の自伝です。
50年以上にわたって盲導犬(アイメイト)を育ててきた著者の苦労のあとがよく見える一冊です。
犬、福祉、視覚障害を抱えている人、それぞれに携わる人たちの中でも考え方に違いやズレがあるもので、そのために想像以上に、順調には盲導犬育成が進まなかった過去が読み取れます。
盲導犬(アイメイト)を見かけたことはあるけどよく知らない、という人たちに特に読んでもらいたい一冊です。

2006 3/1
旅行記本 シェルパ斉藤の犬と旅に出よう  斉藤政喜   新潮文庫
以前オススメした「犬連れバックパッカー」の続編です。
新たに加わった二頭の犬とも旅に出かけます。
ただの人の歩きの旅なら何の問題もなく通れる場所が、犬を連れていると、とても通りづらくなる・・・。
特に日本では犬連れ歩き旅を想定してない場所が多いんだ、とあらためて気づかされます。
これは前作と同じですが、実践した人の話は非常に参考になりますね。
そんなトラブルもありますが、それでも犬を連れていることで、あったかい人との思いがけない出会いがあったりする、そんな楽しさを強く感じて、そこが前作よりパワーアップしている気がします。
それだけ、犬連れにやさしい人たちが、世にたくさん増えてきたと思いたいですね。

評論本  ペットと日本人    宇都宮直子    文藝春秋
ともかく深い!
人と、ペットといわれる動物との関係について、細かい取材を重ねて色々な切り口で書かれています。
その中でも特にオススメな部分といえば、これはなんとなく感じてる人も多いと思いますが、日本人と欧米の人たちとは、動物に対する価値観が生死にかかわる部分まで微妙に違うんですね。
それはなぜか、とてもくわしく説明してくれています。
そして動物愛護について、欧米に見習うべきことはとても大切!としながらも、それは日本がすべての面で劣り、欧米が優れているという意味じゃない、と結んでいます。
どうしてそうなのか、読むと大きく納得できる内容だと思います。


4/1
  かんたんで経済的!愛犬のための手作り健康食   須崎恭彦  洋泉社
タイトルでは、手作りゴハンのハウツー本な印象ですが、そればかりじゃないんです。
著者は獣医学博士ということで、病気について、自然治癒力を高める食事、病気療法食、ドッグフードについて・・・と、かなり具体的に詳しく書かれています。
特に、病気に関してのポジティブな考え方を勧めている部分は、一読の価値あり!
 

 ペットでいやそうこころの病気  加藤元 監修   成美堂出版
犬などと接し触ることにより、人がリラックスし、血圧を下げる効果があると医学的にも証明されています。
そこで動物介在療法という医療が注目され、世界的に実践されつつあります。
この本を読むと、その実際の効果が分かり、もっともっと広まればいいのにと思うことでしょう。
そのための問題点、壁になっていることも詳しく書かれています。
病院にくる人の割合でいうと、動物を飼ってない人の方が多いという話を訊いたことがあります。
目に見えない形で日常的に癒されてるってことでしょう、きっと。

4/19
小説
  のら犬ローヴァー町を行く  マイクル・Z・リューイン  田口俊樹・訳   早川書房
ローヴァーという野良犬が、街の犬たち人たちのいざこざに巻き込まれる、短編エピソード集です。
生死にまつわるものなど、かなり現実的な話も多いので、大人向けと言えますね。
このローヴァーがなかなかの頭脳派で、困っている犬などに協力して問題を解決するさまはとっても痛快!
あくまでも犬の目線で、人と犬の係わりを描いています。そこがハマる!

4/29
短編小説集
  いぬ馬鹿    戸川幸夫    小学館
日本犬をテーマにした作品集です。
かつて、日本で熊などの猟に伴われていた日本犬たち。
この作品集を読めば、昔の、猟師と日本猟犬の独特な関係が見えてきます。

5/17
 老犬コロが教えてくれた幸福   扇田慎平      ワック出版
犬に日々の散歩が必要なことも知らなかったほど、犬との生活を、まさか送ることになるとは思ってもいなかった著者が、結婚を機に、ある日突然奥さんがそれまで飼っていた4歳と9歳の柴犬とも家族となり暮らし始める。
そののちに、いつ起きるか分からないてんかん発作を抱えた老犬を介護する生活が始まる・・・。
犬と夫婦の闘病、介護記です。
最初は著者自身のハードな仕事に突然加わった犬の世話にとまどい、それでもやがてかけがえのない家族と強く思うようになる様子が描かれています。
犬の病気の様子もそうですが、介護していく中で人の生活も仕事も含めて変化していく過程がよく描かれていて印象に残ります。
犬に興味も世話の仕方も知らない人が、子犬のころも知らない9歳の成犬と、ある日突然一緒に暮らすことになるって、その戸惑いの気持ちは本人にしか分からないですよね。
その辺の心境の変化も含めて興味深く読ませてもらいました。

8/13
   動物の親は子をどう育てるか    増井光子    学研文庫
犬や猫などの名の知られてる動物から、動物園で見かけても名前もすぐ忘れそうな動物まで、親子の関係を様々な視点で紹介しながら掘り下げています。
動物の種類によって、同じほ乳類でも、ここまで愛情表現に違いがあるものかと驚かされます。

   ニュースになった犬 マーティン・ルイス  武者圭子(訳)  ちくま文庫
タイトルどおり、ちょっとしたニュースに取り上げられたワンコたちのエピソード集です。
そのワンコたちのニュース写真が、たくさん載せてあるのが魅力です。

8/31
  
人の心を持った犬「野犬・太郎と私の日本平物語」   遠藤初江   幻冬舎文庫
近所で嫌われ者にされていた一頭の野犬を、1年以上かけて慣らしながら自分の飼い犬として保護した著者の悪戦苦闘記です。
野犬として人に追われ、まったく人間を信用しない「太郎」に、著者は精神的にも体力的にも消耗しつつも、徐々に信頼を勝ち取るようになります。
その過程をとても細かく、その時々の心情もしっかり書かれていて胸を打ちます。

  大使のラサ・アプソ「ヒマラヤ犬と旅した十六年」   北村汎   中公文庫
日本の外交官として大使でもあった著者が、ラサ・アプソ犬種の愛犬ドルジを伴って赴任した5ヵ国でのエピソードをまとめています。
犬と飼い主の話といえばそのとおりですが、やはり特異な仕事の方なので、話がとても個性的です。
ラサ・アプソというプライドの高い犬種ならではのエピソードも面白い部分です。

9/10
短編小説集
  セント・メリーのリボン    稲見一良     新潮文庫
ある日突然居なくなった盲導犬を、人づてに頼まれた人が捜し出す、というフィクション短編です。
フィクションながら、盲導犬と目の不自由な方との強い結びつきを、とてもよく表現している内容だと思います。

  神様がくれたボクサー犬   ルイーズ・バーニコウ  仁熊裕子(訳)  講談社
まったく犬に興味もなかった著者が、すてられていたボクサー犬リブロを飼うことになって、だんだん「イヌ人間」になっていくエッセイです。
ニューヨークという都会に住む自分のプライベートや、犬をとりまく街の変化がくわしく描かれています。

  すて犬シェパードの涙   角谷智恵子    ポブラ社
すて犬の「富士」が著者の家族になり、幸せに暮らしていく様子が描かれています。
「富士」は、山で動けないようにされたまま置き去りになっていたのを、著者が鳴き声をたよりに必死に探し出して保護したのですが、その過程がとても詳しく書かれています。
そのあまりに残酷な捨てられ方から、一転、富士が保護された時に見せた涙には、強く気持ちが動かされました。

9/14
   さよなら盲導犬ミッキー  近藤靖(「どうぶつ奇想天外!」番組ディレクター)   幻冬舎文庫
ミッキーという一頭の盲導犬の生涯を、テレビ取材者の目を通して書き綴ったレポート本です。
この本の中で著者も説明していますが、盲導犬は短命だという誤ったイメージを持っている人に特に読んで欲しい一冊です。
もともと犬が苦手だった著者の取材レポートなので、説得力があります。

9/26
短編集
    犬物語    藤川芳朗(編訳)     白水社
ヨーロッパの作家たちによる、犬がテーマの短編を集めた本です。
それぞれに犬に対するお土地柄が出てます。

10/6
  動物たちの可愛いウンチ     今泉忠明    講談社+α文庫
ある意味ハッキリしたタイトルとおり(苦笑)、フンやオシッコから、動物の生態を掘り下げています。
家庭での犬でも、フンを、食べてしまったり、体に擦りつけたりして困るといったトラブルがありますね。
その理由も含め、動物にとっての排泄物の重要な意味が分かります。
でも・・・ゴハン時には読めないなあ。(笑)


エピソード集  犬たちをめぐる小さな物語       アンジェラ・グード(編) 
                                       伊藤延司+マーガレット・プライス(訳)  NHK出版

オーストラリアの本です。
牧羊に携わる人と牧羊犬の強い絆を感じさせる、本当にあったエピソード集です。
一般の家庭犬とは、全く違う絆の形が見えます。

   イヌのこころがわかる本「エソロジーの視点から」   マイケル・W・フォックス  
                                              平方文男・直美 奥野卓司 新妻昭夫(訳)
                                                                ダイヤモンド社

「犬」を様々な側面で科学しています。
古い本で、今とそぐわない部分もありますが、名著です。

10/27
     動物病院119番       兵藤哲夫  柿川鮎子     文藝春秋
動物病院院長の著者が、獣医療だけに限らず、ペット動物が今おかれてる環境全体を、深く掘り下げています。
世間一般がどうだというより、ご自身の長年の経験・独自の考えを元に書かれているので、読みごたえあり。

11/18
ミステリー小説  追跡犬ブラッドハウンド   ヴァージニア・ラニア  坂口玲子(訳) ハヤカワ文庫
アメリカの小説。
数ある犬種の中でもトップクラスの嗅覚のブラッドハウンド、この犬種をブリーディングしながら、時には警察に依頼されて足跡追及犬として現場に出動している、ブリーダー兼トレーナーの女性が主人公。
題名のわりには、犬のことより、どちらかといえばプライベートなトラブルがメインになってます。
でも、それがまたかなり面白い。
随所で、日本では馴染みの薄いブラッドハウンドの個性が生きています。

時代小説傑作選  犬道楽江戸草紙  澤田瞳子(編)  徳間文庫
犬をテーマにした時代小説を集めた作品集。
それぞれ作品のなかで、江戸時代の犬の扱われ方がよく説明されているので、様子が想像しやすい。
犬との係わりかたで、時には出世したり、命を落としたりと、現代からみてもかなりカゲキな時代だったんだ、と痛感させられます。
ある意味、コワイ!

12/8
ミステリー小説   
スパイク    松尾由美  光文社文庫
かなり個性的なストーリーなので、好き嫌いがはっきり分かれる小説です。
スパイクというのは登場するビーグル犬の名まえです。
数ある犬種の中、ビーグルという犬種のイメージをしっかりふまえてつくってあるので、ビーグルファンには特に一読の価値ありなんじゃないかと思います。
それにしてもビックリした、かなりインパクトの強いストーリー展開でした。

自記  動物のお医者さんは、毎日が冒険!  ディヴィッド・ペリン  高橋佳奈子(訳) ヴィレッジブックス
カナダの獣医師が、独立開業一年目の頃の奮闘記をまとめたものです。
1973年のカナダの片田舎での話で、普段見慣れている現在の日本の街の動物病院とはかけ離れた環境です。
治療の成功した例はもちろんですが、失敗談を率直に語っていて、とても驚きました。
登場してくる牛、馬、犬、猫などの飼い主さんがまた、それぞれ味があっておもしろい。
患者のフンまみれになる展開が多いので、注意。(苦笑)

12/20
エッセイ
 
犬がいるからだいじょうぶ    島村洋子   新潮文庫
著者自身が飼っていた犬たちのことや、小さいころ隣近所に住んでいた犬とのエピソードをまとめ語っています。実際にはほとんど接点がなかった犬のことも、独特の感性で描かれていて、犬と人それぞれの個性の強さがよくでてます。

12/24
小説 犬と歩けば恋におちる  レスリー・シュヌール 松井みどり(訳) 文春文庫
ニューヨークの女性ドッグウォーカーが主人公の恋愛ドタバタなんですが、犬種の違いや犬にかかわる仕事の部分をしっかり描いていて、犬好きにもたまらない内容です。
ラストもかなりマジメで満足感ありますよ。


2007/1/29
ミステリー小説
 
封印された鍵 【名犬フーバーの事件簿2 笠原靖  光文社文庫
以前にオススメしたミステリー短篇集第2弾ですが、今回はただ犬が登場するだけじゃなく、さらに大きな役割を担ってます。
犬のことをよく分かってる作家さんなので、犬の心理が本当にリアルに描かれてます。
特に「雪の足跡」は映画にでもなりそうな、いやなってほしい、痛いほど犬の気持ちが伝わってくる作品です。

  発達心理学リポート 犬のこころ子どものこころ 松岡素子  誠文堂新光社
人間の臨床心理、発達心理の専門家が、自身の愛犬との生活の中で、犬と人の心理の共通点をみつけながら応用できるところを語ってます。

こどもとの接し方のヒントが、犬にはたくさん隠されてるのがよく分かります。

2007/2/23
小説      
チロに乾杯      佐藤良      文藝書房
チロはある家で飼われているマルチーズの名まえです。
ホラーファンタジーとでもいうのか、ちょっと不思議な物語です。

飼い主さん夫婦にある日子どもが授かったことで、それまでのチロとの関係に微妙な変化がでてくるのがストーリーの発端になるので、実際ありえるところにリアルさがあります。

3/2
小説    
老人と狩りをしない猟犬物語  西村寿行  講談社文庫
人里離れた山奥に1人で住むおじいさんと、白い紀州犬「隼」との交流の物語。
現代の都会の家庭犬とはかけはなれた、人と犬、1対1の不思議な家族関係が描かれてます。

3/5
小説  
宿なしビルと迷犬ローバーの旅 クリス・ウィリアムズ  角邦雄(訳)   パシフィカ
イギリス小説。

小さい頃生き別れた弟を捜しにイギリスを横断する旅をするビルじいさんと、捨て犬ボーダーコリーのローバーの道中記。
ともかく話が全体的にハッピー!
旅の道中で、ちょっとした事件がおきても、すべてが良い方向に向かってる。

もちろんラストも、気持ちいいほど完ぺきなハッピーエンドになってます。

4/3
小説     白い牙         ジャック・ロンドン 白石佑光(訳) 新潮文庫
不朽の名作。
ホワイト・ファングという、4分の1だけ犬の血をひくオオカミが辿る、山あり谷ありの半生の物語です。
なによりも、このオオカミ犬の視点から見た周りの描写がすばらしい。
生死をさまようほどに虐げられ続けて、やがて幸せな家族に迎えられる過程が、主にホワイト・ファングの目から描かれています。
前半の辛い話からは考えれらないほど、ハッピーエンドなのもうれしいポイント。

4/25
ノンフィクション小説 
ユーコンの疾走 ゲイ・ソールズベリー/レニー・ソールズベリー 山本光伸(訳) 光文社文庫
サブタイトル「極北の町を救え!犬と人の感動秘話」。
1925年にアラスカ極北の町ノームでジフテリアが発生、感染者たちを救い、町を絶滅から救うための血清を届ける役目を果たした、犬ぞりチームの活躍の実話レポートです。
この犬ぞりは悪天候の中、リレー形式で血清をバトンがわりに運んだそうです。
その中のアンカーの犬ぞりチームで、ノームの町に直接に手渡したのが、アメリカでアニメ映画などになった有名な「バルト」をリーダー犬とするチームだったそう。
だから実際には、バルト以外にも苦難を乗り越えた犬や人たちがたくさんいたんですね。
中には、受け持ちの区間を走り終えて、そのまま息絶えてしまったそり犬もいたようです。
本では、その後の様子も書かれていて、マスコミにバルトの犬ぞりチーム以外の功績が歪めて報じられていたりと、美談だけではすまない、考えさえられるレポートも読みごたえあります。

5/3
小説 
愛犬ボーイの生活と意見  ピーター・メイル 池央耿(訳) 河出書房新社
イギリス出身の著者が、南フランスプロヴァンスに移住してのエピソードの中から、愛犬ボーイにまつわる話を中心に書いてます。
主人公のボーイが本を書いている設定です。
犬のボーイの目線からみた、ネコや他の犬の飼い主を含めた人間社会はどう映ってるのかが、よく表現されてておもしろい。
挿絵も、全体的にのどかさがあふれていて、とても好きな絵柄です。

6/8
ノンフィクション 身勝手な飼い方をされるペットたち―獣医はうったえる!― 本田三緒子 大日本図書
東京都の公衆衛生獣医の著者が、過去の実体験のなかで命の大切さを語っていきます。
特に保健所の狂犬病予防員の立場からの話は、とても貴重だと思います。

6/17
アニマルミステリー短編集  ねむけ  仁川高丸  光文社文庫 
犬や猫が登場してる話なのに、ものすごく突き放した描き方。
ほのぼの感ゼロなので、間違いなく好き嫌いが分かれる一冊。 

7/5
評論本    
犬と歩けば脳にいい!   大島清   新講社
大学の名誉教授で脳博士の著者が、趣味の「ウォーキング」の魅力を語っています。
そこに、犬を連れての散歩の良さをからめています。
難しいデータなどを書いてるのではなく、通りすがりに出会った犬連れの人とのエピソードなどの流れで、話を進めていってくれて読みやすい。
犬を家族に迎えた人を、おもしろいアプローチで幸せな気持ちにさせてくれます。

7/11
本     イヌの言い分365日     利岡裕子  三笠書房
しつけに携わっている著者が、あえて、犬がどうしてそういう行動をするのかを体験談を交えながら書くに留めていて、堅苦しくなく気楽に読めますヨ。

9/7
動物冒険小説
  野性の呼び声  ジャック・ロンドン  大石真(訳) 新潮文庫
セントバーナードとシェパードの血をうけた飼い犬だったバックが、何人もの人間に翻弄されながら、過酷な試練にあいながら、アラスカで野性にもどっていく物語。

愛犬エッセイ  愛犬記   戸川幸夫  PHP文庫
動物小説家として高名な作家自身で飼っていた犬のエピソードが、まとめられています。
愛犬のことを語った本はよく目にする中、これは、日本犬へのこだわりと、戦争前後の生活の中での犬の飼われ方が説明されているのが、とても特長的です。
戦時中の犬に対する価値観は、今とはまったく違うことがよく分かります。

ノンフィクション 盲導犬チャンピイ   桑原崇寿  新潮文庫
「日本で最初にヒトの眼になった犬」と副題がついています。
日本の盲導犬訓練のパイオニア、塩屋賢一訓練士の試行錯誤の盲導犬訓練の軌跡を追った本です。

小説   犬ですが、ちょっと一言  ミュリエル・ドビン 乾信一郎(訳) 早川書房
ある女性新聞記者の飼い犬のジョーが、近所の動物たちと語らいながら、自然保護の感覚などの人のものさしを批評しています。
話し相手はイヌ、ネコ、ネズミ、ゴキブリ、ロバ、カタツムリ・・・などなど、多種多様。
それぞれの立場から、人間界のことを語っていて、それがミョーにリアルでおもしろい。

9/30
体験記集 
ペットロスの真実  瀬戸環  毎日新聞社
犬や猫をはじめ、一般に「ペット動物」と呼ばれる動物を飼い、やがて死を迎えたとき、その時の飼い主の心情は。

ペットロスに陥ってしまうと、どんなことがおきるのか。
具体例で、まとめています。

愛犬記  星になったチロ-犬の天文台長-  藤井旭  ポプラ社
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    チロと星空-犬の天文台長-  藤井旭  ポプラ社
天体観測愛好家の有志でつくった天文台のマスコット犬、北海道犬チロととりまく人たちの実体験エピソードをまとめた2冊です。
犬の「天文台長」として、時には友達、時にはガードマンとしてのチロの活躍が、ほのぼの楽しい。

ドキュメンタリー   ランポ-旅に生きた犬-  エルビオ・バルレッターニ  辺見栄(訳) ペットライフ社
1953年〜1961年にイタリアのカンピーリア駅に住み着き、駅員さんたちに愛された「旅行犬ランポ」の一生をつづっています。
ランポのすごいのは、列車やバスなどの公共の交通機関を乗り継いで、旅をすること。
しかもいつも目的地が決まっているわけでなく、どこへ行っても、乗り換えを駆使してカンピーリア駅に戻ってくる。
犬にやさしいヨーロッパといえど、その当時のイタリアにも犬嫌いや規則に厳しい人もいて、そのため、ランポが生死をさまようことになるつらい境地に追い込まれてしまうこともあります。
それでも生涯、自由を貫いたランポには感動させられどおしです。

10/14
エッセイ しっぽのはえたパートナー盲導犬ミントと触れた街角の福祉 星野有史 法研
街を歩き、交通機関を利用し、お店で買い物、飲食店で食事する。
健常者にはなんでもないことなのに、視覚障害者と盲導犬(アイメイト)が同じようにしようとすると、いろいろな不自由ごとがおきる。
そんな著者の実体験が、とても具体的に書かれています。

11/10
エッセイ  ヘンリー、人を癒す心の扉を開けるセラピー犬  山本央子  角川文庫
セラピー犬としてアメリカで活動した「ヘンリー」と、交流をもった人たちとのエピソードをまとめています。

動物保護施設から引き取られたヘンリー、著者はしつけに悪戦苦闘していきながら、やがてセラビー犬への道に向かいます。
セラピー犬になってからの話だけでなく、そこにいたるまでのしつけの失敗、成功くりかえしの日々の様子から、ヘンリーのとてもくせの強い性格が手に取るように分かります。

11/24
フィクション小説  牧羊犬シェップと困ったボス  マージョリー・クォートン 務台夏子(訳) 創元推理文庫
アイルランドの片田舎が舞台。

農場の牧羊犬のボーダーコリー、シェップが語り手になって、自身や飼い主一家にまきおこる騒動を語っていきます。
犬が語るフィクションとはいえ、犬のしぐさや行動はとてもリアルに描かれています。

12/6
ミステリー小説  
名犬フーバーの新幹線、危機一髪! 笠原靖  光文社文庫
「名犬フーバー」シリーズの3作目。
犬が好きでミステリーが好きな人には、ピッタリな一冊です。


2008 
1/13
ノンフィクション  出会いと別れとヒトとイヌ  関朝之  誠文堂新光社
様々な境遇の飼い主と犬のエピソード集です。
ホームレスの男性と協力しあって生きてる犬、迷子になった犬が、人のつながりで奇跡的に飼い主の元にもどった話など、ひとつひとつのエピソードの幅が広く、心温まります。

1/25
愛犬エッセイ  ありがとう、チャンプ車椅子の犬と歩んだ15年 三浦英司  幻冬舎文庫
2歳の時、交通事故で下半身不随になってしまったベアデッド・コリーのチャンプ。

もう一度歩かせてあげたいと願う飼い主の三浦さんの、試行錯誤を重ねてのチャンプ用の車椅子製作。
そしてそこからの、車椅子犬生をつづっています。
犬が下半身不随になったら、どんなことがおこり、どう接したらいいのか。
飼い主としての愛情の深さを、とても強く感じられる本ですよ。

2/17
フィクション小説    
逃避行     篠田節子       光文社文庫
飼い主の主婦と9歳のゴールデンレトリバー、ポポが、ある事情から家族や今までの生活を捨てて、2人、逃亡の旅にでるストーリー。

かなり異色です。
個人的に今まで読んだことのない内容で、とてもインパクトがありました。

好き嫌いが分かれるでしょうが、最後まで読むと、強く心に残こるものがあります。

2/19
ハードボイルド短篇小説集  
  猟犬探偵    稲見一良      光文社文庫
「セント・メリーのリボン」の続編です(2006 9/10に紹介済みです)。
行方不明になった猟犬を専門に探す、探偵の主人公と相棒犬ジョーの短編集。
ちょっと変わった設定なのが新鮮。
ワイマラナーやチェサピークベイレトリバー、他多数の猟犬犬種の名前が、次々と出てきます。

2/29
写真集   
  犬犬GOGO!    新美敬子   戎光祥出版 
世界中の街かどで撮ったワンコたちの写真集。
犬種図鑑の中の写真のような「ポーズをとったきれいな犬」ではなく、街で生活しているそのまま等身大のワンコの姿が見れます。

愛犬エッセイ     奇跡のいぬ グレーシーが教えてくれた幸せ  ダン・ダイ+マーク・ベックロフ  上野圭一(訳)
聴覚がなく片目が弱視などの障害を持って生まれたグレートデン、グレーシーを家族に迎えた同居の男性2人が、やがてドッグクッキー製造の会社をつくり大成功をおさめる実話です。
もともと犬とはまったく関係のない仕事を、それぞれ別々にしていた2人が、このグレーシーを迎えたことで大きく人生が変わります。
それがまさに奇跡なんですね。
とても爽快で感涙ものです。

3/6
愛犬エッセイ 
 都会の犬はたいへんなのよっ!   天谷これ  山と渓谷社  
都心のマンションで、秋田犬「慎太郎」と暮らす著者の体験記です。
ともかく語り口が軽快で笑える。
都会の住宅密集地ならではの散歩のエピソード、集合住宅で大型犬を飼っていることならではのエピソード、秋田犬種を飼っていることならではのエピソード、犬仲間飼い主仲間とのエピソードなど、気持ちをストレートにだした個性的な文章で読ませてくれます。

4/4
体験集  犬にまつわる不思議な話  宇佐和通  Gakken
ミステリアスなワンコの実話のエピソードを集めてます。

世界各地の、合理的な説明のつけられないような不思議な犬の物語たちです。
思わず、へぇ〜と感心するものばかりですよ。

4/18
ミステリー小説    
パンプルムース家の犬  マイケル・ボンド  木村博江(訳)
イギリス小説。

元警察犬のブラッドハウンド「ポムフリット」と、飼い主の元刑事が主人公のユーモアミステリー。
のんびり読める、かなり軽いタッチのストーリーです。 

5/11
愛犬エッセイ   ケンジの日記 ある柴犬との十六年間の共生   西村六郎   文藝春秋
飼い犬の柴犬ケンジの生涯を、全体に愛情あふれる文章で語っています。

お仕事の関係で日本やギリシャなどで暮らしていく中で、ケガや病気にたびたびなり晩年は老化からくる脳の病気、前庭障害を発症しますが、その介護の様子も詳しく語られています。

5/29
解説本     アニマルラーニング  中島定彦  ナカニシヤ出版
犬はもちろん他の動物のしつけや専門的な訓練のトレーニング、その基本の原理を動物心理学の面から科学的に説明しています。
犬のしつけだけをとってみても、人によってしつけ方に個性がでますね。
それでも、動物の心理をしっかり理解したうえでの方法ならば、なにも問題なく、逆に心理を無視した誤った方法だと、精神的に大きな負担がかかってしまうことがよくわかります。
動物にかかわってる人、興味がある人にはイチオシの一冊ですよ。

5/31
エッセイ  
 フロックスはわたしの目-盲導犬と歩んだ十二年- 福澤美和  文春文庫
盲導犬の存在が今よりもはるかに珍しい、1976年から12年間の盲導犬「フロックス」との日常を語っています。
盲導犬の基本的な知識がない人が多く、さらには大きな犬を連れていることで、時に理不尽な扱いを受けることもありますが、それでも楽しい旅行記にもなっています。 

6/22
小説    バベルの犬   キャロリン・パークハースト   小川高義(訳)     角川書店
ある夫婦と愛犬ローデシアン・リッジバック犬種の「ローレライ」の物語。

ミステリーでもあり、それでいて、とてもハートウォーミングな物語です。
前向きなラストで、癒されますよ。

8/6
動物エッセイ    
パリの獣医さん   ミシェル・クラン  中西真代(訳)  早川書房
フランスで幅広く活躍する著者の獣医さんが出会った、様々な患犬・猫などや、個性的な飼い主のエピソードを語っています。

8/16
小説  
   マリと子犬の物語     藤田杏一   小学館文庫
新潟県中越地震で被災した山古志村で、飼い主一家始め全村民が避難してしまった無人の村で生き延びた犬の奇跡の物語。
実話を元に作られた物語なので、感動もひとしおです。

8/31
エッセイ   最後のパートナー-盲導犬を引退した犬たち-   西田深雪  幻冬舎文庫
盲導犬を、老齢や病気などのやむをえない理由で引退していく犬たち。
その犬を引き取り、最期を看取ることになる引退犬ボランティア。
今まで盲導犬として活躍してきたゆえの気持ちのケアや、老齢なワンコとしての体のケアの様子などが、愛情のこもった文で語られています。
とても愛情ゆたかに余生をすごしているのが、スナップ写真のやわらかい笑顔のワンコに表われています。

9/3
ファンタジー小説  
 片目のオオカミ  ダニエル・ペナック  末松氷海子【訳】    白水社
フランスの小説。
動物園で、おりの囲いに独りですごしている片目のオオカミ。

過去の心の傷のために、ケガをしてるわけでもないのに片目をわざと開けないオオカミが、「アフリカ」という名前の、心通わせられる不思議な少年とおりごしに語り合い、だんだん前向きな気持ちになっていくものがたりです。
とても前向きであったかい名作です。

9/8
愛犬エッセイ  ゴールデン・レトリーバーの日々   アーサー・ヴァンダービルト  豊田菜穂子【訳】  WAVE出版
アメリカで弁護士をしてる著者が、G犬の愛犬エイミーとの思い出のエピソードを語っています。

10歳で悪性のリンパ腫によって生涯をとじたエイミー。
個人的に僕もこのガンでワンコを亡くした経験があるので、とても気持ちが入ってしまいましたが、でもいかにもアメリカ人っぽく(?)陽気に思い出を語ってくれるので、しんみりしないのがいいのです。

9/24
愛犬エッセイ  あなたの犬バカ度を測る10の方法  ジェニー・リー  木村博江【訳】 文春文庫
ハウツー本のようなタイトルながら、まったく教養めいたことは無し。
単純明快に楽しめる愛犬エッセイです。
アメリカで暮らす著者夫婦と、アメリカでも珍しいソフトコーテッド・ウィートン・テリア犬種の「ウェンデル」との、親バカぶりがたっぷりの爆笑日記ですよー。

10/4
小説    僕の名はユー     高橋勝    ぶんりき文庫
捨て犬だった子犬をむかえた榊原一家。
その犬「ユー」が拾ってきた宝くじが、1億円の大当たりくじだった!
その後おきる騒動を、主人公「ユー」の犬目線で描いています。
犬の目からみると、たしかに不思議に見えるだろう人間の行動が、うまいこと風刺されてます。

エッセイ小説  ヘリオット先生の動物家族  J・ヘリオット  中川志郎【訳】  ちくま文庫
1930年〜40年ごろの、イギリスのヘリオット獣医師の回顧録です。
まだ薬も充実していない時代のイギリスの田舎町の、ほのぼのした雰囲気が和ませてくれます。

10/8
犬エッセイ集  
  ありがとうMy Dog      増田ユリヤ    オクムラ書店
様々な境遇の人と犬の、心温まるエピソード集です。
いかに犬との暮らしが心を豊かにするものか、そして命の責任をともなうものだと強く感じさせてくれます。


2009

1/31
エッセイ小説    
  毎日が奇跡    ジェイムズ・ヘリオット   大熊 榮【訳】      集英社文庫
イギリスの獣医さんドクターヘリオットの1940年前後からの回顧録です。
かなり昔の話ですから、今の感覚でいくとかなり荒っぽかったり大ざっぱだったりの診療の様子ですが、それが普通なのがむしろ新鮮です。

のんびり明るい話ばかりなのがいいです。
イヌの他にも、ネコ、ウシ、ブタ、ヤギ・・・とたくさんの動物が登場しますが、その飼い主との掛け合いが、なんともいえない楽しさがあるんですね。

3/17
愛犬エッセイ  車いす犬びすこの一生  渡辺やよい    成美文庫
車いす犬といっても、「びすこ」が足腰に問題をかかえるようになるのも、そのために車いすを使うようになるのも11歳すぎから。
さらにてんかん発作も始まります。

その歳までのエピソードは、ウェルシュコーギーのよく言われている性格とはちょっと違う「びすこ」と、いかにもコーギー気質らしい後輩犬「あんこ」との個性のぶつかりあいが楽しめる愛犬記になっています。
本職の作家さんということで、ご自身の生活の変化や動物病院や他の飼い主さんとの交流についてなど、なかなか興味深い話もありますし、最期は闘病記にもなりグッとくるものがあります。
犬好き、コーギーファンの方、これから犬を飼おうと思ってる方と、それぞれの立場で楽しんで感動できると思いますよ。

4/15
本   
   犬も平気でうそをつく?     スタンレー・コレン  木村博江【訳】  文春文庫
犬の心理を細かく解説しています。
そもそもは人間の心理学の専門家の方なので、人の心理と犬の心理を重ねたりしながらの、独特で分かりやすい説明でまとめられています。
日常的なしつけや接し方について、犬の行動心理を詳しく理解しておきたい方におすすめです。

4/18
小説   
  犬の消えた日     井上こみち          幻冬舎文庫  
太平洋戦争の戦渦の中で、家庭で飼われていた犬たちの運命を描いています。
実話にもとにしてつくられた話なので、世間一般にはあまり知られていない、犬と戦争のかかわり方がよく分かります。
当然悲しいこともおきるわけですが、犬がいることで前向きになれたという話もあり、深く心に残ります。

4/21
取材記  
   ポチのひみつ        片野ゆか   集英社文庫
「忠犬ハチ公」「西郷隆盛の銅像の犬」「花咲かじいさんの犬」「いぬのおまわりさん」について、とことん犬にこだわって取材した内容です。
特に、「ハチ公」の生涯と、かなりの愛犬家だった西郷さんと銅像のモデルの薩摩犬ツンについてがすごい。
一般に知られてるよりかなり深いところまで調べられていて、おおざっぱにしか知らなかったので目からウロコな話ばかりでとても新鮮でした。

5/17
コメディミステリー小説  ハ―ドボイルド・エッグ   萩原浩   双葉文庫
本業は人相手の探偵なのに依頼がペット捜しばかりのほぼペット探偵が、事件にまきこまれていく話。
何匹かの犬たちが、重要な役割の犬として登場してます。
コメディタッチで気軽に読めて、でもけっこう中身は濃くて考えさせるところもあり、なかなかいいです。

10/15
エッセイ小説  ニューヨーク獣医物語 スティーブン・クリトシック 相原真理子【訳】 平凡社
アメリカのニューヨークで、救急医療に従事している獣医さんの体験談です。
銃で誤って撃たれるなど日本とはまた違う、変わった患者(飼い主)のエピソードばかり。
のんびりした田舎の動物病院でなく都会ならではの、さらに救急治療ならではの話、という意味でも興味深く読めました。
たくさんの患者の飼い主さんが登場しますが、つくづく実に色んな考え方を持っているもんだと、あらためて思いました。


2010
6/16
愛犬エッセイ  マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと  ジョン・グローガン 古草秀子[訳]  早川書房
映画にもなった、ベストセラー。
さすが読んでいて楽しくなるエピソードばかりで飽きさせません。
あまりのマーリーのイタズラと奥さんが精神的に参ってしまったために、しつけをしっかりしなおす場面もあり、完璧を目指さなくていいしつけのヒントももらえます。
土地柄や引越し、お仕事の関係もあって、ワンコ1匹でこれでもかこれでもかと面白いことが続くので、ちょっとうらやましくもなります。

8/18
ミステリー小説   
再発     仙川環             小学館文庫
もしも、日本で狂犬病が発生したらどんなことがおきるのか、がとてもリアルに描かれています。
「狂犬病」といっても犬が感染源になるとは限らない、むしろ他の哺乳動物からの感染拡大が怖い、というありえそうな警鐘を鳴らす話にもなってるので、感染経路の謎解きもふくめて、興味深く読めました。

12/3
エッセイ小説 
ペットER 傷ついた犬たち  ジョージ・A・ポーター 森平慶司[訳] KKベストセラーズ
アメリカのペット救命救急医療のさきがけとなった獣医の著者の実体験記です。
まだ携帯電話もない時代なので連絡の行き違いがあったりで、今では考えられない苦労の連続だったようです。
交通事故、ケンカなどでのケガ治療や、患っている病気の急変など、緊急で診てもらいたいときに診てくれる先生がいるというのは、ありがたくて安心できますよね。
そんな救急治療がまだ形になっていなかった時代ならではのハプニング、犬だけでなく猫や他の動物の患者とその飼い主の話がたくさん書かれています。


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